【WordPress脆弱性】CVE-2026-63030(通称:wp2shell)の解説と対応方法

WordPressで見つかった脆弱性「CVE-2026-63030(通称:wp2shell)」の解説と対応方法について詳しく解説します。

WordPressの脆弱性(wp2shell/CVE-2026-63030)

先日、当サイトが使用しているレンタルサーバー会社より以下のお知らせがありました。

このたび、コンテンツ管理システム「WordPress」のコア機能において、
外部からの攻撃により第三者による任意のコード実行(Webサイトの乗っ取り)を引き起こすおそれのある
重大な脆弱性(CVE-2026-63030、通称「wp2shell」)が公表されました。

本脆弱性は、認証やログインを必要とせず、導入しているプラグインやテーマの有無にかかわらず、
該当バージョンのWordPressを利用しているすべての環境が影響を受けます。

現時点で、当サービスにおける本脆弱性を悪用した被害は確認しておりませんが、
お客様のWebサイトを安全にご利用いただくための暫定的な対策として
対象サーバーにおいて本脆弱性の攻撃経路となるREST APIのバッチエンドポイント(/wp-json/batch/v1)への通信を
遮断する対応を実施いたしました。

ただし、本対応はあくまで被害の発生を抑えるための暫定的な措置であり、根本的な解決には至りません。
恒久的な対策として、お客様ご自身によるWordPress本体のアップデートを何卒よろしくお願いいたします。

お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、安全なサービス提供を最優先とした対応となりますので

何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

———————————————————————-
■公表された脆弱性
 CVE-2026-63030(通称:wp2shell)
 ※連携して悪用されるSQLインジェクションの脆弱性(CVE-2026-60137)を含みます。

■影響を受けるWordPressのバージョン
 ・WordPress 6.9.0 ~ 6.9.4
 ・WordPress 7.0.0 ~ 7.0.1
 ・WordPress 6.8.0 ~ 6.8.5(連携するSQLインジェクションの影響対象)

■弊社にて実施済みの対策
 対象サーバーにおいて、REST APIのバッチエンドポイント(/wp-json/batch/v1)への通信を遮断(2026年7月19日 AM6:30頃 実施)

■お客様への影響について(重要)
 上記の遮断対応に伴い、REST APIのバッチ処理機能(batch v1//wp-json/batch/v1)が一時的にご利用いただけなくなっております。
 通常のWebサイトの表示・閲覧、および管理画面の操作には影響ありませんが、
 batch v1のREST APIを利用したプラグイン・テーマ・外部連携・独自開発の機能をご利用の場合、
 当該機能が正常に動作しない可能性があります。

■お客様へのお願い(重要)
 お客様がご利用中のWordPressを、以下の修正版以降へ速やかにアップデートしてください。
 ・6.9.x をご利用の場合 → 6.9.5 以降
 ・7.0.x をご利用の場合 → 7.0.2 以降
 ・6.8.x をご利用の場合 → 6.8.6 以降
 ※自動更新を有効にされている場合も、実際にアップデートが完了しているか管理画面にてご確認ください。

■今後の対応について
 恒久的な対策として、お客様のWordPressアップデート状況および攻撃の状況を継続して確認のうえ、
 安全が確認でき次第、遮断対応の解除を検討いたします。
 状況に変化があった場合は、改めてご案内いたします。

CVE-2024-28000の概要

CVE-2024-28000で報告されている「wp2shell」は以下2つの異なる欠陥(脆弱性)を組み合わせた「攻撃チェーン(連続攻撃)」 です。

① セキュリティチェックのすり抜け(CVE-2026-63030)

WordPressには「REST API」という、外部のアプリやプログラムからWordPressを操作するための通信窓口があります。その中に、複数の命令を一度にまとめて処理する「バッチエンドポイント(/wp-json/batch/v1)」という機能が存在します。
このバッチ機能の内部プログラムに欠陥があり、攻撃者が特殊なリクエストを送ると、本来行われるべき「権限チェック」や「入力値の安全確認」をバイパス(すり抜け)して、内部の別の機能を不正に呼び出せてしまう状態になっていました。これを「ルートコンフュージョン(経路の混乱)」と呼びます。

② データベースの不正操作(CVE-2026-60137)

もう一つは「SQLインジェクション」と呼ばれる欠陥です。WordPressがデータベース(記事やユーザー情報が保存されている場所)から情報を引き出す機能(WP_Query)の一部に、悪意のある入力文字を無害化する処理の抜け漏れがありました。
これにより、不正な命令をデータベースに直接送り込める状態になっていました。

サイトが乗っ取られるメカニズム

攻撃者は、前述した2つの欠陥を次のように組み合わせてサイトを乗っ取ります。

① 攻撃者はまず、誰でもアクセス可能な「バッチエンドポイント (/batch/v1)」に通信を送ります。
② 1つ目の欠陥(CVE-2026-63030)を利用し、WordPressのセキュリティチェック(権限確認など)をすり抜けてシステムの奥深くに侵入します。
③ すり抜けた先で2つ目の欠陥(CVE-2026-60137)を突き、データベースへの不正操作(SQLインジェクション)を発動させます。
④ この一連の流れにより、攻撃者はWordPressに一切ログインすることなく(未認証のまま)、遠隔からサーバー上で好きなプログラムを実行(RCE:リモートコード実行)できてしまいます

結果として、サイトの書き換え、管理者アカウントの奪取、スパムの踏み台化など、Webサイトが完全にコントロールされる最悪の事態を引き起こします。

エックスサーバーの暫定対策

エックスサーバーがお知らせの中で「/wp-json/batch/v1への通信を遮断した」とありますが、これは上記ステップ1の「攻撃の入り口」をサーバー側で強制的に塞いだ という意味です。これにより、攻撃者は最初の侵入ができなくなり、サイト乗っ取りの被害をひとまず防ぐことができます。しかし、WordPress本体の中には依然として「セキュリティチェックをすり抜けられるバグ」と「データベースを不正操作できるバグ」が残ったままです。

そのため、サーバー側の防御だけに頼るのではなく、WordPress本体を最新版にアップデートして、バグそのものを消し去る根本的な対応が必要です。

関連ページ

WordPressのセキュリティ対策超入門
WordPressのセキュリティ対策について入門者向けに解説します。

コメント